玉山国家公園はその特殊な地形から園内の最大標高差が3600メートルにもおよびます。また峡谷、断崖、風隙などの特殊な景観以外に、暖帯、温帯、寒帯の3タイプの気候を持ち、豊かな植物の生息地でもあります。その面積は台湾全土の3%ほどしかありませんが、台湾の半数以上の原生植物を内包しています。地理的な位置と標高の変化の相互作用により、亜熱帯植物だけでなく、寒冷帯の植物も見ることができます。
園内の植物分布は5つの植生ゾーン(帯)に分けられます。それぞれ、高山植生帯、ニイタカトドマツ帯、タイワンツガ・ニイタカトウヒ帯、コナラ帯、クスノキ・カシ帯です。なかでも、コナラ帯が園内の大部分を占め、台湾山地の雲霧エリアも含みます。また雲霧が最も濃い場所では台湾特有のヒノキが見られます。2019年の統計によると、園内の植物は、単子葉植物が475種、双子葉植物が1580種、裸子植物が27種、シダ植物が433種、コケ植物が230種、菌類が147種となっています。このことからも園内のそれぞれの生物群系が多様かつ豊富な植物を育んでいることがわかります。
高山植生帯
主に標高3600メートル以上の高地に分布します。植物の組織および環境因子の違いから、寒原植生タイプとニイタカビャクシンタイプなどに分けられます。
ニイタカトドマツ帯(針葉樹林)
標高3100~3600メートルの間に分布し、高山植生帯の下方に位置します。尾根の上部に近いため、太陽放射が非常に強い場所です。その木の種類には、多くの場合、上部でニイタカビャクシン、下部でタイワンツガが混入します。典型的なニイタカトドマツの純林は、真っすぐにそびえ立ちます。そして、白い枯れ木の林が間雑し、下層にはニイタカヤダケが密生します。
ニイタカトドマツ帯(針葉樹林)
ニイタカトドマツ
標高3100~3600メートルの間に分布し、高山植生帯の下方に位置します。尾根の上部に近いため、太陽放射が非常に強い場所です。その木の種類には、多くの場合、上部でニイタカビャクシン、下部でタイワンツガが混入します。典型的なニイタカトドマツの純林は、真っすぐにそびえ立ちます。そして、白い枯れ木の林が間雑し、下層にはニイタカヤダケが密生します。
タイワンツガ・ニイタカトウヒ帯(針葉樹林)
標高2500~3100メートルの間に分布し、主にタイワンツガとニイタカトウヒの森林が形成されています。この2つの木は標高2300メートルの場所にも分布しますが、通常は多くの広葉樹と混在するため、純林ではありません。このエリアにはさらにタイワンハンノキやニイタカアカマツなどの遷移段階の植物群が存在します。
コナラ帯
タイワンベニヒノキ
コナラ帯は雲霧がしばしば発生し、また暗くじめじめした斜面に位置することから乱反射を好む樹種が非常に多いです。中でもクスノキ科およびブナ科からなる常緑広葉樹林、ヒノキからなる針葉樹林、その混交樹林などがよく見られます。また、南向きの斜面や遷移早期にはより多くの特殊な樹種が確認でき、複雑な植生が形成されます。
クスノキ・カシ帯(常緑広葉樹林)
クスノキ・カシ帯は標高1500~500メートルの場所に分布し、主にクスノキとカシの森林が形成されています。また雲霧林エリアの下方に位置します。
植生帯 | 気候帯 | 標高(メートル) | 主な植物 |
---|---|---|---|
高山植生 | 亜寒帯 | >3600 | ニイタカビャクシン、ニイタカシャクナゲ、高山植物 |
ニイタカトドマツ帯 | 冷温帯 | 3100-3600 | ニイタカトドマツ |
タイワンツガ・ニイタカトウヒ帯 | 涼温帯 | 2500-3100 | タイワンツガ、タイワンカザンマツ、ニイタカアカマツ、ニイタカトウヒ、クエルクス・セメカルピフォリア |
コナラ帯 | 温帯 | 1500-2500 | タイワンベニヒノキ、タイワンヒノキ、タイワンスギ、ランダイスギ 、タイワンイチイ、タカサゴウリカエデ、イトマキカエデ、オナガカエデ、タイワンクルミ、アリサンニレ |
クスノキ・カシ帯 | 亜熱帯 | 500-1500 | タイワントガサワラ、タイワンショウナン、ホソバタブ、オオバタブ、タイワンイヌグスなど |
ニイタカシャクナゲ
ニイタカビャクシン
玉山竜胆
紅毛杜鵑
雪山翻白草