玉山国家公園の地形と気候は変化に富み、その自然環境が多様な動物を育んでいます。園内には哺乳類、鳥類および昆虫(蝶)などのさまざまな野生動物が生息しています。学術研究の対象としてだけでなく、国内外の観光客のフォーカスポイントの1つにもなっています。
臺灣黑熊
園内には65種類の哺乳類が生息し、台湾の陸域哺乳類の種の74%を占めます。このうち16種が中・大型哺乳類で、これは台湾に生息するほぼ全ての中・大型哺乳類を含みます。これらの動物は中央山脈の馬博拉斯山、秀姑巒山、塔芬尖山、雲峰一帯などの森林生態系が十分に保全された人里離れた山地で多く姿を見せます。
黃喉貂
金芒管鼻蝠
臺灣水鹿
臺灣山豬
臺灣野山羊
臺灣獼猴
鳥類
園内の野生鳥類は約233種類で、台湾の森林に生息するほぼ全ての留鳥を含みます。また、このうち29種は台湾固有種で、これらの鳥も園内で発見することができます。鳥によって生息環境に対する好みは異なります。天然林や人工林に同時に生息するヤブドリ、コシジロムシクイ、ズアカエナガなどの少数の種類を除き、大部分の鳥の生息地は、依然として生態系が保たれたエリアによります。
灰林鴞
蒼鷹
爬虫類
園内は標高が高いため、調査により得られた爬虫類は46種類のみで、その種類と数は多くありません。このうちヘビ類が31種、トカゲ類が12種、カメ類が3種です。なかでも、アリサンハブ、ザウテルヘビ、スインホーキノボリトカゲなどの数が比較的多く、主に南横公路、東埔温泉一体の標高の低いエリアに分布しています。
両生類
園内に生息する両生類は21種類です。このうちアリサンサンショウウオ、ソナンサンショウウオ、タイワンサンショウウオの3種は有尾類で、いずれも台湾固有種です。無尾類は18種で、バンコロヒキガエル、タイワンモリアオガエル、ムクカジカガエルは台湾固有種です。主に標高の低い南横公路、東埔温泉を生息地としています。
昆虫類-蝶
園内に生息する蝶は286種類です。このうちアゲハチョウ科が27種、シロチョウ科が30種、シジミチョウ科が75種、タテハチョウ科が108種、セセリチョウ科が46種で、台湾で見られる蝶の種類の約71.2%を占めます。塔塔加鞍部および八通関から東埔間の古道は、地形と餌の条件が十分なため、多くの蝶が集まります。このため「蝶の道」が形成され、観賞や研究価値が非常にあります。
魚類
園内の渓流は全て河川上流エリアに属し、人為による汚染が少なく、高山渓流の淡水魚の生息環境は良好です。園内で確認されている淡水魚は16種類です。なかでも、タイドンタニノボリ(Hemimyzon formosanus)とギガスヨシノボリ(Rhinogobius gigas)は東部のみに生息する固有種です。タイワンクゥーフィッシュやタイワンマシールは東部と南部の渓流にわずかに分布する貴重な魚です。